隣国のタンザ
すぐにモロさんに車の提供を申し出ると、塩尻さんはとても喜んでくれた。ところが、現地で受け入れ手続きをしようとする彼の前に、哀しい現実が立ちはだかった。ケニアには、八年以上たった車の持ち込みを禁止する法律があるのだそうだ。ジョニーは製造から十年になる。それでも彼は、隣国のタンザニアかウガンダでナンバー登録し、そこからケニアに持ち込むことを考えた。しかし、それもまた月々の手数料がかかる。輸送費、税金、今後の諸費用などを合わせると、莫大な資金が必要になる。塩尻さんは涙をのんで、私の申し出を断念せざるを得なかったのである。
ジョニーがもう二歳若ければ、塩尻さんのところに行けたかもしれないのに……。アフリカは国によって様々な規制が多く、外国からの支援を難しくしていると聞く。彼がアフリカを疾走する夢は、八年規制の壁の前に消え去った。残念のひとことだった。
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