2015年09月24日
お花見に行く約束

桃子が施設に戻ると、桜子は近くの県立病院へ搬送されていた。
急いでメイクを落として着替えをして、急いで桜子の後を追った。
「桜子さん!」
救急処置室に入ると、所長が桜子に付き添っていた。
「伊川さん、呼び戻して申し訳なかったね。ありがとう。逢坂さんは昼食をとるために食堂へいらしたところに倒れたんだよ。状態から見ておそらく脳梗塞だ。今から緊急手術に入るそうだ。」
「脳梗塞…」
桜子が手術を受けている間、桃子は柊に何度か電話をしたが、携帯の電源が入っていないと通知が流れ、自宅は相変わらず誰もいないようだった。
「何かあったのかしら…」
神戸に出かけた時のままの、ジャージには不似合いなバッグにスマホを入れようとすると、切れてしまったブレスレットの事を思い出した。
「これなら直せるわ。」
持っていたヘアピンを使ってチェーンをつないで、ガラスの玉を入れた。
「出来た!よかった…」
―魔よけなのよ―
桜子はそう言っていた。
桃子はそのブレスレットを握りしめて願った。
(どうか、桜子さんを救ってください。桜子さん、頑張って!お花見に行く約束したじゃないですか。柊さんも待ってますよ。)
Posted by ゃぬのね at 16:18│Comments(0)
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